オバマ・グーグル(広報6月号の町長コラム)
歴史ある旭川市の文学賞である「小熊秀雄賞」に、山田亮太さんの詩集「オバマ・グーグル」が選ばれ、贈呈式に出席させていただいた。
山田さんは、小学校4年生の時に父の故郷である鷹栖町に移住。北野小学校、鷹栖中学校を卒業し、旭川東高校から東京都立大学に進学。現在は会社勤めをしながら、詩作活動を続ける34歳の青年だ。
詩作活動は、14歳に遡り、受験勉強のために毎朝4時に起床。目覚まし替わりに「ノート1ページに意味もなく文字を並べた」ことが始まりと言う。高校生となり、本格的活動の入口を明るく照らしたのは、担任の先生に手渡された詩集だと明かされた。期せずして、その恩師は私の高校時代の恩師であることに、素直に驚かされた。
「オバマ・グーグル」は、インターネット上の「活字」を紡ぎ合わせ、現代を風刺する一方で、世界にあふれる正誤不明の情報の危うさにも警鐘を鳴らしているように思える。
「詩」を解釈するのは、読者個々であり、読む年齢・環境・時代により、感じ方も違う。繰り返して読むことにも趣があり、自身の心の変化も面白く、初見の方も深く考えずに楽しめるので、まちの図書室でこの詩集を手にしてほしいと思う。
山田さんと話すうちに町の話題となり、第1作目の詩集『ジャイアント・フィールド』には祖父の名前である『ヤマダシロウや皿回し』も出てきますよ」と笑った。
不意に恩師の先生のいたずらっぽい笑顔と重なった。