2023年 人命救助と固定概念の恐ろしさ(広報たかす2月号より)
昨年11月に北野にある高齢者施設「ぬくもりの家えん」から夜遅くに高齢者が行方不明となった。さつき会から役場には翌日未明に一報が入り、すぐに町職員を招集し、捜索活動に加わり、午前7時からは防災無線でも複数回周知し、町民の皆さんにも捜索をお願いした。午前11時過ぎに北野在住の田中慎吾さんが鷹栖中学校を越えた河川敷で倒れている行方不明者を発見。体温保持に努め119番通報を行うなど、冷静な対応で人命を救助いただき、後日、鷹栖町からも表彰させていただいた。
田中さんは防災無線を聞き「認知症の方なら元気に遠くまで歩く可能性がある。趣味のバイクで、皆さんが捜索しないであろう河川敷を捜そうとバイクを走らせ、発見に至ったという。彼の知恵と勇気ある行動に一命が救われたのである。
一方、私たちの捜索は、過去の出来事を基に、最初から遠くまで歩くのは無理だろうと判断して、その方が今まで保護されたことのある1km以内の道路や用水路などから徐々に広げ、深夜から3回、4回と捜索していた。しかしどうだろう。田中さんは情報が細かくまで知らされていなかったので、捜索範囲を3km以上に広げて高齢者を発見し、私たちは最初から困難だと思い込む「固定概念」が行動を抑制させ、未来の望ましい結果を導くことができなかったのだ。
形は違えども、まちづくりも共通することがあると直感し、職員に訓示としてこのことを伝えた。